新しい風の会とは

「日本農業に新しい風を吹かせよう（略称：新しい風の会）」について

当会は、農林水産省 植物工場 実証・展示・研修事業 千葉大学拠点で実施された、植物工場プロジェクト研修の講師を担当していました私池田個人が発起人となり、講座に参加していた受講生有志と共に、2011年から活動を開始した自主的な勉強会に始まっております。私が千葉大学を退職してからは、筑波大学構内において、月例で実施する勉強会を運営してきました（2017年9月～）。2020年9月以降については、コロナ渦中の状況を鑑みてZoomミーティングを利用したオンライン講座に変更をして勉強会を継続しています。

勉強会は、講義内容を基礎編と応用編に分けて開催し、初心者からベテランの方まで参加しやすい形式にしています。会員からの質問や要望などは随時受け付けており、講師を含め会員同士がディスカッションし、楽しみながら勉強しています。基礎講座の講師は、副代表福田直也教授（筑波大学つくば機能植物イノベーション研究センター・部門長）が担当しています。応用講座の講師は、私が担当しています。講座課題によっては、専門分野の外部講師を招くこともあります。また、当会の運営に関する業務は、事務局やスタッフがボランティアで担ってくださっています。

私は、ハウス栽培や養液栽培に関することに携わって半世紀以上になります。その間、日本のハウス栽培は一番多い時期には50,000ヘクタールの農地面積を超えましたが、その後減少の傾向を続け、現在は42,000ヘクタール程度となっています。そして、その中で養液栽培法を採用しているハウスは残念ながら5％にも届きません。ハウス栽培の大部分は、土作りを行いながらの土耕です。

オランダは、今世界で最も生産性の高いハウス栽培を実現しており、更に養液栽培の実施率は97％にも及んでいます。養液栽培を開始したのは日本のほうが早かったのですが・・・。オランダと比較して年間の受光量が多い日本は、オランダの生産性を超えられるはずと、私は信じています。それを実現するには、ハウスの構造や遮光、換気などの方法の改善が必要ですし、栽培を科学的に行うことも重要であると考えます。

科学的に栽培を考えると、植物の生育に最も大きく影響するのは光合成であることに気づきます。決して土作りや施肥技術ではないのです。光合成とは、水とCO2を原料にして、光のエネルギーを用いて、葉で糖を作る化学反応です。これを最も実現しやすいのは、グリンハウスで行う養液栽培なのです。10アールの栽培面積の施設で、年間売上1,000万円以上を実現することは難しくはありません。グリンハウスで養液栽培を行えば、快適な労働環境で仕事をしながら、高収入を得る農業を実現することができます。

私は、季節に合わせて毎年同じことだけを繰り返す生産者ではなく、栽培状況に合わせて考えることのできる生産者になることを目指していただきたいとの思いで、勉強会を主催してきました。現在、各都道府県から様々な職種の多くの方々に参加して頂いています。作物栽培をしている生産者、植物工場従事者、農業改良普及指導員、試験場研究員、個人、これから生産者となる方々です。

『農業は面白い！』と思う農業を実践できるようになっていただきたいと、私は強く願っています。参加する皆様にこの会を育てていただくことも重要と考え、質問や要望、意見などは随時受け付けていますので、是非、当会への参加をお待ちしています。

※当会では栽培施設のことをグリンハウスと呼称しています

2021年11月1日
日本農業に新しい風を吹かせる会
顧問　池田英男